168 名前:
22/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:12 ID:2ke+iq1b
「私はFoxの兄でいなければならない。」
その想いだけで、とにかく走った。あらゆる状況を出来る限り把握して、
今何が起きているのか、何をしなければいけないのか。そればかりを
考えるようになった。
Foxの兄として。
∧_∧ \ /
X ノ ハヘ X Λ_,,, Λ_,,, ∧_∧
|゚ノ ^∀^) (゚-;;゚ ≡ ゚;;-゚) (・∀・;)
§_つ□]O □と;; ;; ; U;; ;;つ (つと )
ノ____ゝ |;; ;; ;≡;; ;; | ( ( (
(__)_) (/ .≡ `J (_(__)
ミ ミ
Λ_,,,
爪゚;;-゚)
⊂/;; ;; ⊃
169 名前:
23/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:12 ID:2ke+iq1b
その頃から、私は憤ることが多くなった。
このチャット内には掲示板が設置されていたのだが、以前から
たまに荒れることはあったが、最近は特に荒れることが多く
なっていた。
そして、仲間内で「掲示板事件」と呼んでいる事件が起きた。
いや、私が起こしてしまった。
_________
/ | |
Λ_,,, - .| |
爪゚;;-゚) | |
|;; ∞| .| |
~|;; ;; ;;|  ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄
し'`J ,,,,||,,,, ,,,,,||,,,,,
170 名前:
24/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:13 ID:2ke+iq1b
ある日、「外人はみんな出て行け。」といった内容の投稿があった。
最近掲示板がFoxの話が多くなってきたこともあってのことだろう。
しかし、私に火をつけるには、この一言でも十分だった。
「Foxに敵対する人には私が相手になりましょう。それが出来ないなら
さっさと消え失せろ!。」これが私の返答だった。
________
∬ |
,,,_Λ |
ノリ リノゝ. |
|;; ;; ;つ| )) .|
~;; ;;|  ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄
し'`J ,,,,,||,,,,,
171 名前:
25/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:13 ID:2ke+iq1b
しかし、相手は小馬鹿にしたあげく、決着をつけようと誘ってきた。
冷静さを失っていた私は、それも悪くはないと思いかけていたとき
だった。
私がオンラインになったとたん友人のHEさんが真っ先に声を
かけてくれた。
「MAB、絶対行くな。あんなヤツの相手をするんじゃない。」と。
∬
Λ_,,, ∧_∧
ノリ#゚;;-) (´曲` ;)
⊂;; ;; >と <y>⊂)
⊂;; ;;~ ( ( (
(/ (_(__)
172 名前:
26/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:14 ID:2ke+iq1b
よく考えると、事が自分だけで済めばいいが他の人に面倒が
及ぶこともあり得る。そう考えるとまずいことをしたな、と思って
いると、HEさんは隠れ家として集会場を用意してくれた。
このチャット自体は無料だったが、集会場を借りるときは有料
だったにも関わらずである。
郷里に縁があって今まで遊び半分で「盟友」と呼び合っていたの
だが、私のようなヤツでも気にかけてくれる人がいることを嬉しく
思うと共に、「盟友」という言葉も嘘ではないと思った。
| | 集 会 場 |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
,,,_Λ ∧_∧ | | |
ノリ リ ゝ (´曲` ) | | |
|;; ;;U ⊂ <y> つ | | |
~ ;; ;;| | | | | | |
し'`J (_(__) .| | | ,,,, vV ,,
173 名前:
27/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:14 ID:2ke+iq1b
とりあえず事態を収拾するために私は変装をして(このときにも
HEさんは、決して少なくない友人たちにそのことを連絡して
くれたのだ。)システム管理の人に謝罪と警告のメールを書いた。
影響がないに越したことはないが、念のため、である。
(この事件の数日後、掲示板は撤去された)
__
Λ| aa |_
爪=('∀`)
(;;つ□ψ ))
~(;; ;; ;;)
174 名前:
28/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:15 ID:2ke+iq1b
普段私は「所詮ネットワーク上での話なんだから、相手のことを考えすぎない
方がいい。そうしないと怪我をする」と考えていた。事実、ネットワークの上では
常に冷血であろうと意識していた。
しかし、このころから感情をあらわにして、ときにはこれ以上ないというほど
激怒し、ときには気が狂いそうになるほど悩んで、HRさんやJRさんの前で
弱音を吐いたりした。
そんな私を見て、HRさんが私に言った。
「最近のMABは人間くさくなってきたね。」
機械のように振る舞っていた私も、所詮は生身の人間だったのだ。
∧_∧
X ノ ハヘ X
Λ_,,, (^∀^ ヾ |
ノリ;゚;;-゚)ゞ OO___§
(つ;; イ ノ___ゝ
~(;; ;; ;;) (_(__)
175 名前:
29/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:15 ID:2ke+iq1b
喪失は突然やってきた。
いつものようにオンラインになると、いきなりICQのメッセージが
飛び込んできた。
Foxのお父さんからだった。
「Foxが死んだ。」と…。
\ 从 /
Λ_,,,
爪゚Д゚)
|つ□O
~|;; ;; ;|
し'`J
176 名前:
30/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:16 ID:2ke+iq1b
必死に駆け回ったことも
絶対帰ってくるという絶望的な祈りも
ご両親を励まし続けたことも
Λ_,,,
爪゙д゙)
U;; ;;つ
~|;; ;; ;| □
と;;ノ;;ノ
177 名前:
31/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:16 ID:2ke+iq1b
全ては無駄だったのだ。
,,, ,, ,, ,,
~γ;; ;;爪;; ;;>
と,,;;);; U U □
178 名前:
32/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:17 ID:2ke+iq1b
泣いたのなんて何年ぶりか覚えていない。
しかし、本気で泣いた。
それで何とかなるものではないことは分かっている。
だが、それしかできなかった。
,,, ,, ,, ,, O
~γ;; ;;爪;; ;;>il|i
と,,;;);; U そOて □
179 名前:
33/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:17 ID:2ke+iq1b
しかし、私の役目は終わったわけではなかった。
Foxの訃報を知らせてまわらなければいけないのだ。
本音を言えば、もういい、疲れた、とPCの電源を落としたかった。
全てを投げ出したかったが、できなかった。
僅かに残っていた理性が「お前にはやらなければいけないことが
ある。だから、行け。」と言っていた。
それがFoxの兄としての務めなのだから。
Λ_,,,
爪゙;;-⊂
U;; ;; |
(( ~|;; ;;O
,,, ,,, し' ,,vVv ,,,
180 名前:
34/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:18 ID:2ke+iq1b
数人まわった後、このチャットでの古くからの友人であり
親しくさせてもらっていた、KMさんにも伝えに行った。
精神的に疲れ切った私は、思わずKMさんの前でありのまま
心境を吐いた。
結局Foxに何もしてやれなかった、と…。
○
/ ヽ
Λ_,,, ミ"""""ミ
爪;;。 。) (`Д´ ;)
U;; ;; | ⊂ ⊂ )
~| ;; ;; | | | |
し'`J (_(__)
181 名前:
35/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:18 ID:2ke+iq1b
しかし、KMさんは言った。
「なに言ってるんだよ、立派なお兄ちゃんだったよ。」と。
それが本当だったのか否かを確かめる術はない。
ただ、今となってはそうであって欲しいと願うほかなかった。
○
/ ヽ
Λ_,,, ミ"""""ミ
爪゙;;-゙) (`ー´ )
U;; ;; | ( )
~| ;; ;; | | | |
し'`J (_(__)
182 名前:
36/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage ちなみに今日はFoxの] 投稿日:04/08/30(月) 21:19 ID:2ke+iq1b
その後、みんなで集会場に集まり、Foxの死を悼んだ。
チャット内での季節は冬。
鳴りひびく風の音が、悲しさに拍車をかけるようだった。
______ |
| | 彡
| | 彡 彡
| | 彡 彡
| | 彡
| | _ ∧_∧
| | ∧_∧. ( †) X ノ ハヘ X
| | ( ´曲⊂ (* 。 。) ∩∩ ヾ |
| | ( <y>イ U | ,,, ,, ,, ,, ヽ____§
| | | | | ~| | ~γ;; ;;爪;; ;;> ノ___ゝ
| | (__)_) .し'`J と,,;;);; U U (_(__)
183 名前:
37/37 Harper ◆I.W.ekBeYY [sage 命日だったりします。] 投稿日:04/08/30(月) 21:20 ID:2ke+iq1b
____________ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ | | 後編に続く。
| | | | \__ ___
| | □ STOP. | | V
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
184 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:20 ID:pDSGWwd8
乙
185 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage ( ´∀`)つ 幸せどうぞ] 投稿日:04/08/30(月) 21:23 ID:lYpaq2el
久々にリアルで見れました
乙でした
( ・∀・)ノシ ヨカッタヨ
186 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:24 ID:E59ICoSf
乙
後編期待
泣いた…
187 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:26 ID:u6KRw7UK
リアルで見ました。乙
最初36コマのメル欄を見てどきっとした…
188 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:33 ID:hprywn3+
後編に期待。
…いや、「だったりします」じゃないだろ…
189 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/08/30(月) 21:53 ID:vWH3d8Cw
(つД`)゚・ クハァッ・・・
151 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:10:41 ID:U0+iU1+t
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.| 期間が空きすぎて覚えている人は少ない
____________ .| かも。マッテタヒトハ ゴメンネ
| __________ | | 「Blowin' in the winter wind 後編」
| | | | \____ ____________
| | |> PLAY. | | V
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
152 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:11:14 ID:U0+iU1+t
人間生きていれば何が起こるかわからない、とはよく言ったもので、
こんな現実でもなかなか起きそうにないことが起きるとは全く予想して
いなかった。
Foxの死の数日後、DUGという青年が現れた。
/ _ ∧_∧
Λ_,,, - († ) Λ_D ∧K_∧ X ノ ハヘ X
爪゚;;-゚) (゚ー゚*) (゚Α゚*)') (‘∀‘ ) (^∀^ ヾ |
U;; ;; | U | | .イ ⊂ ⊂ .) |__U§
~|;; ;; ;| ~| | | |~ | | | ノ____ゝ
し'`J し'`J し'`J (_(__) (_(__)
153 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:11:47 ID:U0+iU1+t
3/22
DUGはFoxの従兄弟らしく、Foxと兄弟同然に育てられたそうだ。
生前Foxがアメリカに帰ったときもチャットに来ていたのだが、
DUGはそれを横から見ながら一緒に楽しんでいたそうだ。
チャットの時以外にもFoxは私たちのことを話していたらしく、
DUGは既に私たちのことをよく知っていたのだった。
\\ //
Λ_D Λ_F
(*゚Α゚) (゚∀゚*) ______
U | | つ // /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |\//____/  ̄ ̄ ̄ ̄
\l_____l
154 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:12:18 ID:U0+iU1+t
4/22
そのときも私は、やはり「KRさんの代理」というスタンスを守ろうと
思っていたのだが、DUGは私を見つけるなり言った。
「I'm your brother!」
私の役目は終わっていなかった。
Foxがそうであったように、兄弟同然だったDUGもまた、私の大切な
弟なのだ。
Λ_,,, Λ_D
爪゚;;-゚)ゞ(Α^*)
|;; ;; つ⊂ ⊂ .|
~|;; ;; ;| | |~
し'`J し'`J
155 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:12:47 ID:U0+iU1+t
5/22
DUGの話によると、現在Foxのご両親はDUGの家で世話になっている
とのことだった。
お母さんは看護疲れで入院してしまい、お父さんは自身を責めるあまり
精神的に参ってしまい、目を離すと自殺しようとしてしまう有様だった。
||===============||
|| ∧_∧ .||
Λ_D / ̄ ̄"´Д` ミ ̄ ̄/|
(*゚А゚) |_| /⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒l .|
| つ━━ ./ | .|
~| O / | /
し' / /
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
∧_∧
(ili ´人`) +
_ゝ く_ .|ゝ
-=≡ Λ_D γ ヽ | |
(ili゚А゚) | l l || |
-=≡ / つ | | | ( ̄)
156 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:13:17 ID:U0+iU1+t
6/22
その話は私たちにとってもショッキングであり、また、多少なりとも
責任を感じずにはいられなかった。
Foxを早く楽にする方法があったにもかかわらず、私たちは
それに反対し続けたのだから。
しかし、そんな気を抜けない生活をしているDUGに、せめて
チャットにいる間だけでも楽しんでもらおうと思った。
Λ_D Λ_,,,
(*-А) (゚-;;゚爪
U | ⊂;; ;; ;U
~| | .|;; ;; ;|~
し'`J し'`J
157 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:13:44 ID:U0+iU1+t
7/22
それからというもの、私たちはできる限りDUGと一緒に行動する
ようになった。
当然私だけではカバーできないので、相変わらずHRさんや
JRさんも一緒だった。
「DUGを守らなければいけない」という想いは一緒だったと思う。
_ ∧_∧
( †). X ノ ハヘ X Λ_,,, Λ_D
.(*゚ー゚) |゚ノ ^∀^) 爪゚;;-゚) (*^Α)
U | §___| /つ;; つ ⊂/ つ
.~| | ノ___ゝ ~/;; ;; つ. ~/ つ
し'`J (__)_) (/ .(/
158 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:14:11 ID:U0+iU1+t
8/22
DUGはFox同様、やはり積極的に他の人に話しかけていた。
そして新しく知り合いができると、私に紹介してくれることも
度々あった。
そして相手に私を紹介するときに、「MABは僕のお兄ちゃん
だよ。」と付け加えることも少なくなかった。
それは恥ずかしくもあったが、とても嬉しくもあった。
Λ_,,, Λ_D ∧_∧
爪゚;;-゚)ゞ (*^Α) (´ー` ∩
U;; ;; | ⊂ つ ( ノ
~|;; ;; ;| ~| | | | |
し'`J し'`J (_(__)
159 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:14:37 ID:U0+iU1+t
9/22
しかし、平穏だった日々もそんなに長く続かなかった。
「Foxの従兄弟が来ているらしい」と聞きつけたFoxの知り合いが
現れるようになったのだ。
当然Foxのことを色々聞きたいと思って会いに来たのであろう
事は容易に想像がつくし、無理もないと思う。
/ /
Λ_,,, - Λ_D - ∧_∧
爪゚;;-゚) (*゚Α゚) (゚∀゚ )
|;; ∞| ⊂ | ⊂ ⊂ )
~|;; ;; ;| | ~ Y 人
し'`J し'`J (__)`J
160 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:15:06 ID:U0+iU1+t
10/22
だが、どういう訳か、会う人のほとんどがDUGに対してあまりにも
礼儀知らずな行動を取るのだった。
一方的に自分の話ばかりする人、やたらFoxの話だけをする人。
DUGの立場に全く理解を示さない人。
もちろん私たちがその場にいることも多かったが、フォローが
行き届かなかったことも少なくなく、なんともいたたまれない気分
になった。
\\ //
\\ //
Λ_,,, Λ_D ∧_∧
ノ|;゚;;-゚) (;゚Α゚) (゚∀゚ )
U;; ;; つ U | ⊂ ⊃
~|;; ;; ;| ~| | | | |
し'`J し'`J (_(__)
162 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:15:33 ID:U0+iU1+t
11/22
なかでもDUGが最も辛かったことは、
「DUGのいう個人として見てもらえず、Foxの身代わりとしか見てもらえない」
という事だったという。
あくまでDUGとして見てもらいたいと思うあまり、はじめはFoxのものを
使っていたチャットとICQのアカウントも、わざわざ自分のものを改めて
取り直したくらいだった。
\\ //
Λ_,,, .Λ_D
ノ|;゚;;-゚)ゞ (Α^*)
U;; ;; | [New]と |
~| ;; ;;;| .| |~
し'`J し'`J
165 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:16:08 ID:U0+iU1+t
12/22
最もそう思うことも無理はなかった。
DUGは実際の生活においても、精神的に参ってしまった
Foxのご両親にFoxと間違われていたらしい。
もちろん、DUGはあえてそれを指摘はしなかった。
いや、できなかったのであろう。
||===============||
|| ∧_∧ .||
Λ_D / ̄ ̄"´∀` ミ ̄ ̄/|
(;゚А゚) /⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒l |
.U | / | |
~| | / | /
し'`J / /
168 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:16:41 ID:U0+iU1+t
13/22
つまり、家にいてもチャットに来ても、「DUG自身」は存在せず、
「Foxの身代わり」がいる、という状態だった。
それ故に、DUGは「自分を見て欲しい」と強く思ったのであろう。
当然私たちにとってはDUGはDUG以外の何者でもないと思って
いたので、その考えを受け入れた。
\ / _
Λ_,,, Λ_D († )
爪゚;;-゚) (`(Α^*)') (゚ー゚*)
|;;.∞| `l イ | U
~|;; ;; ;| | |~ .| |~
し'`J し'`J し'`J
170 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:17:15 ID:U0+iU1+t
14/22
しかし、所詮は多勢に無勢だった。
理解しあおうとしたDUGの努力も、そんなDUGを支えようとした
私たちの助力も、相手に伝わることはほとんど無かった。
そして…。
\\ // Λ_,,, Λ_D \\ //
(゚-;;゚;リゝ (;゚Α゚)
('p`)n('p`)n ⊂;; ;; ;U U | n('p`)n('p`)('p`)
('p`)n('p`)np`)n |;; ;; .|~ ~| | n('p`)n('p`)p`)('p`)
('p`)n('p`)n('p`)n し'`J し'`J n('p`)'p`)n('p`)n('p`)n('p`)
172 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:17:44 ID:U0+iU1+t
15/22
ある日、いつものようにオンラインになるとICQが飛んできた。
それはDUGからだった。
全て英文で書かれていて、「日本人なんて大嫌い」といった
ような非常に手厳しい内容だった。
とうとうDUGは我慢の限度を超えてしまったのだ。
\ 从 /
Λ_,,,
爪゚Д゚)
|つ□O
~|;; ;; ;|
し'`J
175 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:18:14 ID:U0+iU1+t
16/22
普段DUGからのICQのメッセージは、親しかったHRさんや
JRさんと同じものが届くことが多かったのだが、この最後の
メッセージは私だけにしか届いていなかった。
そう、他の誰にでもなく、DUGの兄である私だけに、である。
Λ_,,,
爪゙д゙)
|つ□O
~|;; ;; ;|
し'`J
177 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:18:50 ID:U0+iU1+t
17/22
そのときになってやっと、DUGは私のことを本当の兄のように思っていた、
ということを思い知らされた。
ごっこ遊びでもなんでもなく、頼りに出来る兄だと思っていたのだと。
その想いに応えてあげることが出来なかった私が、とてつもなく無力で、
気が付くことが出来なかった私が、とてつもない大馬鹿者に思えた。
そんな私を見て、JRさんはいつものように、私に言ってくれた。
「辛い役目を、いつもご苦労様です」
_
,, ,, .(† )
爪;; ;; > (゚ー゚*)
U;; ;; | ⊂ U
~□;; ;;| | |~
し'`J .し'`J
180 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:19:18 ID:U0+iU1+t
18/22
DUGが去った後も、私は相変わらずチャットに通い続けた。
それまで放浪を続けていた私は、いつもみんなで集まっていた
集会場の前に定住するようになった。
| 集 会 場 | .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| |
| |
| |
| | \\ //
| |
| | ∧_∧ ΛΛ ∧_∧
| Λ_,,, ( ´⊇`) (,,゚Д゚) (´∀` )
| 爪゚;;-゚) .( ⊃ ⊃ U | ⊂ ⊃
| (;; ∞) | | | ~| .| | | |
| ~(;; ;; ;;) .(__)_) し'`J .(_(__)
182 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:19:47 ID:U0+iU1+t
19/22
あれからどれぐらい時間が過ぎていったのだろう。
そう、5年も経ったのだ。
その間に、システムは小規模づつながら変更されていき、
いろんな事情でチャットを去っていった人もいれば、新たな
出会いも少なからずあった。
しかし、どんなに時間が過ぎても変わらなく存在し続ける
ものもあった。
| 集 会 場 | .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| |
| |
| |
| |
| |
| | ∧_∧ ΛΛ ∧_∧
| Λ_,,, ( ´⊇`)') (,,゚Д゚) ( ´∀`)')
| 爪゚;;-゚)') (. イ .U | ⊂. イ
| (;; ;; ;イ | | | ~| .| | | |
| ~(;; ;; ;;) .(__)_) し'`J .(_(__)
185 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:20:17 ID:U0+iU1+t
20/22
あの辛い時を一緒にくぐり抜けてくれた仲間がいること。
その仲間達と相変わらず話をしていること。
私にはアメリカ人の兄弟がいて、ここが思い出の地であること。
会 場 | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ |
~ ̄ ̄ ̄| |
| |
| |
| |
| | _
| | ∧_∧ ΛΛ ∧_∧ .(† ) ∧_∧
| Λ_,,, ( ´⊇`)') (,,゚Д゚) ( ´∀`)') (゚ー゚*) (´曲` ∩
| 爪゚;;-゚)') (. イ .U | ⊂. イ | U (<y> ノ
| (;; ;; ;イ | | | ~| .| | | | O .|~ Y 人
| ~(;; ;; ;;) .(__)_) し'`J .(_(__) `J (__)`J
187 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:20:46 ID:U0+iU1+t
21/22
そして冬になると、あの日を思い出させる風の音が
鳴りひびくこと…。
彡 / ヽ vv
彡 / ,,,,_Λ 彡 ヽ
,,,, / ノリ゚;;-) ヽ 彡
/ |;; ;;U ヽ ""''" 彡
vWv / ~;; ;; | 彡 ヽ
"" / し'`J ヽ ,, ,,
/ ヽ
189 名前:
Harper ◆I.W.ekBeYY [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:21:15 ID:U0+iU1+t
22/22
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| なお、この作品は作者が体験した実話を元に
| 作られていますが、作中に登場したHN及び
____________ | 登場人物は実在するものとは限りませんので
| __________ | | ご注意を。
| | | | \__ ________________
| | □ STOP. | | V
| | | | ∧_∧ BGM ハ Poison ノ
| | | | ピッ (・∀・ ) 「Something To Believe In」 ッテコトデ。
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
197 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/12/12(日) 00:33:27 ID:cC4QlkpD
待っていたよ。
GJ!
乙華麗。
つらい話で、物語のような、きれいな終わり方じゃないけれど、でも、だからこそ、人生と言う続きの物語に希望が持てる。
DOG氏に会ったら、よろしく伝えてホスイ。
198 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/12/12(日) 02:05:32 ID:rsBMZb4E
正直、すっかり忘れてました。申し訳ない。
でも最後まで見られて本当に良かった。
色々感想みたいな事が浮かぶんだけど、それよりもう少し余韻に浸っていたい。
そんな作品でした。
199 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/12/12(日) 12:37:43 ID:biX8ISgE
Harper ◆I.W.ekBeYYおつかれー。グジョブ!
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