80 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:01:54
124 名前:(10/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:53:40 ID:9ibQUVt5 [11/65]
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::
頭ではわかっても 胸の痛みと共に溢れる恋心
__
| | ∧_∧
| | <⌒ヽ-∀)
| | / ⌒ヽ
| | / ヽ
__|__| <______ゝ
全てを失っても 彼女を救いたい
.
81 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:02:30
125 名前:(11/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:02 ID:9ibQUVt5 [12/65]
向かった馬小屋で 待ってたのは私の侍女
幼い頃から私の身の世話を務めていた 今では一番の侍女頭
∧_∧ ∧ ∧
<⌒ヽ・∀) (‘-‘;,)
/ ⌒ヽ と つ
/ ヽ | )
<______ゝ U U
「 お気持ちはわかりますが 行ってはなりません
残された国王 王妃が どれほどお嘆きになるかおわかりですか? 」
「 そこをどくんだよ オマエなら私の彼女を想う気持ちを
誰よりも一番良く知っているだろう? 」
∧_∧ ∧ ∧
<⌒ヽ・Д) (‘o‘;,)
/ ⌒ヽ と つ
/ ヽ | )
<______ゝ U U
「 えぇ 知っております
だからこそ命がけでお諌めする覚悟で参りました
どうしても行くのなら 私を殺して下さい 」
.
82 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:02:45
126 名前:(12/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:23 ID:9ibQUVt5 [13/65]
彼女を押しのけ 強引に馬に乗り
∧_∧ ∧∧
<(・∀・; )ミ ヽ
/⌒ヽ つミ /ヽ___)
// /⌒) /
| ヽ~^し' i
振り返って見た先にあったのは
短剣で胸を突き 血を流して横たわってる彼女の姿
.
83 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:03:12
127 名前:(13/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:54:45 ID:9ibQUVt5 [14/65]
心で詫びを入れながら 馬を走らす
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;=Д=)ミ ヽ / ミミ゚Д゚,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ U ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ~^し' / | し' |
城門の前で会ったのは 剣術師範の息子
身分は違えども 同じ日に生まれ共に稽古してきた一番の親友
「 知ってるか?ここ100年の間
あの魔女に勝てた勇者など独りもいない
君の腕ごときで勝てると思うのか? 」
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;・Д)ミ ヽ / ミミД゚ ,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ U ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ~^し' / | し' |
「 負けるかもしれないが
それでも彼女を心から愛し
救える可能性があるのは私一人だ 」
.
84 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:03:30
128 名前:(14/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:55:14 ID:9ibQUVt5 [15/65]
「 だが君がこの国を治めることを放棄すれば
いく万という民が救われない世になるぞ 」
∧_∧ ∧∧ ∧∧ ∧,,∧
<( ;・∀)ミ ヽ / ミミД゚ ,,彡
/⌒ヽつミ /ヽ___) (_/ ミ と ミ
// /⌒) / i (⌒ ,,ミ ̄ヽ
| ヽ~^し' / | し' |
「 …わかっている
だから生きて彼女と帰るつもりだ 」
.
85 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:03:53
129 名前:(15/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:55:44 ID:9ibQUVt5 [16/65]
「 その考えが 甘いと言うのだ!! 」
∧_∧∧_ ∧∧ 彡
<(;・∀ミ ) ∧,,∧ ミ ヽ 彡
/(つミ r'´, cミ゚Д゚# 彡 ヽ__)
// /⌒)∴≡=/ ミ ミ |
| ヽ~^し' ((・ / ミ⌒) ヽ
「 どうしても行くのなら 私を倒して行け
私ごときを倒せない者が
魔女に挑む資格などあるはずがなかろう 」
∧_∧ / \ ∧,,∧
<( ;・∀)/ \ミ゚Д゚# 彡
/ ⌒ヽ つ と つ
/ ヽ ミ ミ
<______ゝ U U
86 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:04:46
130 名前:(16/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:56:21 ID:9ibQUVt5 [17/65]
彼は最期に泣きながら私に言った
「王子の心に巣食い この国を破滅に導く姫君こそ 魔女ではないか? 」と
己の命乞いではなく 私情に狂う私の身を哀れみ嘆き 流したであろう最期の涙
∧_∧
<( ∩∀T)
∧,,∧ / ⌒ヽ つ
:::::::ミ:::::::::彡 / ヽ |
ヽ) <_____ゝ
親友の血と諫言と涙を浴びて 迷う我が身
人を愛し慕うことは これほどの罪なのか?
.
87 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:05:06
131 名前:(17/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:56:44 ID:9ibQUVt5 [18/65]
私の命などいくつ捧げてもかまわない
心から信頼する大事な人間を二人も失ってしまった今
もう私は この罪なる道に進むしか…
∧_∧ / /
< ̄ ̄ヽ) / /
/ | / /
/ | / /
<___ノ
城外で待っていたのは数百人の民
身の不自由な者 病身の家族のいる者
直接私が施しをした 見覚えのある者もいる
∧_∧
<( ;・∀) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 このたびは なんという不幸に 」
「 おいたわしや 王子様 」
.
88 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/28(火) 19:05:38
132 名前:(18/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:57:08 ID:9ibQUVt5 [19/65]
「 ですが行ってはなりませぬ
アナタのいないこの国の未来で
我々貧しい者は
どうやって生きていけばいいのでしょう 」
∧_∧
<( ;-∀-) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 しかし 姫を救う方法は
それしかないのだよ 」
民衆の中から 一際力強い声が
「王子、私めが魔女退治に行きましょう」
∧_∧
(∀ ゚ ,,)
( )
∧_∧ | | |
<( ・∀) (_(_) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
89 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:18:45
133 名前:(19/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:57:35 ID:9ibQUVt5 [20/65]
見覚えのある若者
「あの時 王子が情けを下さって 医者を寄越してくれたおかげで
私の妹は こうして一命を取り止めることができたのです。」
∧_∧
(,,゚ ∀ ゚ )
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( -д) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
侍女を見殺しにし 親友を手にかけ 凍りついていた心に流れる暖かさ
弱った妹を抱き 泣きはらしうろたえていた当時の彼と
今の己の姿が重なる
よかった 私は彼を救えていたのだな?
∧_∧
(゚ ∀ ゚ ,)
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( -∀) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 こう見えても 私も街で一番の力持ち
古寺院に巣食う魔物を退治したこともあります
私に命をかけたご恩返しをさせて下さい。 」
.
90 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:19:18
134 名前:(20/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:58:23 ID:9ibQUVt5 [21/65]
「 だがね この呪いは
姫を心から愛する者でないと解けないのだよ 」
∧_∧
(∀ ゚ ,)
( ) ∧∧
∧_∧ | | | (∀゚*)
<( ・∀) (_(_) ( ,,) ∧_∧
/ ⌒ヽ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
「 王子、 私はこの国の良き国王となるアナタと
そのアナタの王妃となる姫のことは
生涯誓って 心から愛し続けますよ 」
∧_∧
( ゚ ∀ ゚)
∧∧ ( )
∧_∧ (*゚∀゚)')
<( ;∀∩ (,, ) ∧_∧
/ ⌒ヽ ノ ∧_∧ ∧_∧
/ ヽ ∧_∧ ) (
<______ゝ ( ) ∧_∧
( )( )
…若者の誠心誠意の言葉に 私の頑なな心は 崩された
私は彼に自分の気持ちを託し見送り
城に戻ることにした
.
91 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:19:51
135 名前:(21/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:59:04 ID:9ibQUVt5 [22/65]
部屋に戻ると 泣きはらす王妃の姿
||
∧_∧ ||
( Tっ∩ ||
∧_∧ / ノ  ̄ ̄ ̄|
( ・∀) (⌒(⌒ ) ____|
( )
| | |
(_(_)
慎ましくも毅然とし 国中の女性の尊敬を集めるこの王妃も
私の前では 子を想うただの母親
∧_∧ ∧_∧
( -∀)(‘っT )
( つと と )
| | | ( ( (
(_(_) (_(_)
「 ご心配かけました 私は今後二度と
一人で城を抜け出そうとは 考えないと誓います 」
翌日 亡き二人を弔いながら 同じことを誓う
.
92 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:20:13
136 名前:(22/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 19:59:33 ID:9ibQUVt5 [23/65]
だが数ヵ月後 悲しい知らせが届いた
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
あの若者が 魔物に殺され
いばらの木に 無残に吊るされていたと
∧_∧
( =∀) _||_
( ) ∧∧  ̄|| ̄
| | | ( *) ,||,,,
(_(_) ( ,,) "" ""
またしても 私の恋心は 犠牲者を出してしまった
.
93 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:20:42
137 名前:(23/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:00:13 ID:9ibQUVt5 [24/65]
「 あたし 泣かないよ
おにいちゃんと 約束してたもの 」
∧_∧
( ・∀) _||_
( ) ∧∧  ̄|| ̄
| | | (゚∀゚*) ||,,,
(_(_) ( ,,) "" ""
「 おにいちゃんが ダメだったら 私が行くの
私の命があるのは 王子様のおかげ
だから 私達兄妹は 国を守る王子様のかわりに
魔女と戦うの 」
∧_∧ ∧∧
( T∀(∀゚*)
( つ ,,)
| | |
(_(_)
私はこんな健気な娘をも 孤児にしてしまったのか
若者の墓に深く懺悔した後
城で娘を引き取ることにした
.
94 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:21:03
138 名前:(24/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:00:39 ID:9ibQUVt5 [25/65]
私の噂を聞いて 何人もの勇者が城にやってきた
私の代わりに 魔女を退治してくれると
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
∧_∧ (Д`(∀‘ | : |
∧_∧ (-∀- ) .と と .| : |
( ^ x) ( ) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) | | | ( |( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの若者のように 心底私に尽くす気持ちの者もあれば
勇者として力試しをしたい者 名を上げたいだけの者
父母に媚へつらうだけの者 支度金目当ての者
いろんな者が訪れた
§ §§ §
||三| :|三| : |
lVVVlVV/| : |
∧_∧ (Д`(∀‘ | : |
(・∀・ ) .と と .| : |
( ) | ̄| | ̄| ̄ ̄ ::|
| | | ( |( | ::|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして城に戻ってくる者は 誰もいなかった
.
95 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:21:25
139 名前:(25/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:01:06 ID:9ibQUVt5 [26/65]
いばらの城に送る すなわち その者を殺すこと
私は犠牲者が増えることに 耐えられず
魔女退治に来る者を 断るようになった
それでも私を心配し心痛める者のために 姫を諦めたフリをすることにした
∧_∧
(-∀- )
と )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|
96 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:21:56
140 名前:(26/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:02:07 ID:9ibQUVt5 [27/65]
魔女は卑劣な方法で 彼女の国を盗った
だが現在かの国は 落ち着きを取り戻し
恐怖政治の中 豊かさを見せ始めている
そしてこともあろうに 我が国へ友好不可侵の同盟を申し込んできた
∧_∧
∩=∀=#)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ
|U ⌒)
いばらの城付近に攻め入る 我が国の英雄を名乗る者の一部の暴虐が
あちらの国民の脅威に なってきているらしい
我が国民にも 戦争の不安を募らせる日々を送らせないためにも
これ以上私怨を 国交に持ち込めない
…もう 私に姫は救えない
.
97 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:22:33
141 名前:(27/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:02:33 ID:9ibQUVt5 [28/65]
私が魔女を呪う気持ちは 魔女の呪いよりも醜く強いのではないか?
悪鬼羅刹になって 全ての犠牲を省みず
あの城を滅ぼすことが出来たら 私はどんなに幸せだろう
∧_∧
∩-∀- )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ
|U ⌒)
…しかし 私を慕う民が 私のこのような心の内を知れば
どんなに落胆するだろうね
結局私は なんの身動きもできない
∧_∧ ∧∧
∩・∀・ ) (゚∀゚*)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ ( ,,)
|U ⌒) UU
「 お疲れでしたら 寝室でお休み下さい
こんなところでは お体に触ります 」
.
98 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:23:07
142 名前:(28/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:03:09 ID:9ibQUVt5 [29/65]
あの時 私を心を溶かしてくれた 悲しき恩人の妹
私の侍女として仕え 手元で育っている娘
∧_∧ ∧∧
∩ ・∀・) (゚∀゚*)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ヽ ( ,,)
|U ⌒) UU
「 王子の無念は わかります
私も剣の稽古も魔法の勉強もしております
いずれ 私が魔女に勝てるように
一人前になるまで お待ち下さい 」
「 それはもう いいのだよ
オマエまで亡くしてしまっては
オマエの兄に申し訳が立たない 」
∧_∧
(,, -∀) ∧∧
/ つ (∀゚*,)
(_ ⌒)) ( ,,)
(_)) UU
「 王子のお許しがなければ
私は 兄の敵討ちということで 魔女と戦います 」
.
99 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:23:35
143 名前:(29/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:04:14 ID:9ibQUVt5 [30/65]
「 …希望を失わないで下さい
澄んだ魂を曇らせないで下さい
復讐心なら全て私が背負います 」
∧_∧
( ・∀) ∧∧
/ つ (∀゚*,)
(_ ⌒)) ( ,,)
(_)) UU
情けないことに 彼女のそんな言葉に救われる
∧_∧
( -∀-)_ ∧∧
U U ヽ || ∇ (∀゚*,,)
(⌒(⌒ノ=rf ===c )
し'し'__i__| (/"ヽ)
私の一番愚かで醜い 心の内を知る侍女
彼女の人をも殺す術の鍛錬を
嬉しい想いと 後ろめたさの中で聞く
.
100 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:24:00
144 名前:(30/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:04:57 ID:9ibQUVt5 [31/65]
十年の月日が流れ 父は崩御し
王位を継承する
§ §§ §
||三| :|三| : |
||三lVV/| : |
|| (-‘ | : |
∧VVVl || と .| : |
( -∀) | ̄| ̄| ̄ ̄ ::|
/ と) | ( | ::|
,‐(_  ̄l | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し―(__) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…これで一切の我儘が できなくなるな
望みのない石になった姫を 今更后にと願う国民などもはやいない
私はいずれ 一番国益をもたらす婚姻を
結ぶことになるだろう
.
101 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:24:24
145 名前:(31/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:05:24 ID:9ibQUVt5 [32/65]
一方 いばらの城の方は
私が姫を諦めたという話の後も 目指すものは少なくなかった
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
「 あの城には 呪われた美しい姫君が
石像の姿で眠る 」
という噂は既に世界中に広まっている
私と姫のことなど知らぬ勇者が
次々とあの城に挑んでは散った
.
102 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:24:59
146 名前:(32/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:06:01 ID:9ibQUVt5 [33/65]
もう諦めたこととはいえ
見知らぬ他の男が 姫の美しさだけを目当てに
こぞってやってくる浅ましさには 心底参る
∧_∧ ∧∧
∩∀-iii)_ (゚∀゚*)
ヽ U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf . | )
し'し'__i__| U"U
…それでも 石になった彼女を救える者が
いるに越したことはないが …
私以外の 彼女の美しさに恋する者に救われたら
彼女と彼女の気持ちは
果たして誰のものになるのであろうか?
私が手を出せぬほどの 野蛮な者の手に落ちなければよいが…
.
103 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:25:38
147 名前:(33/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:06:46 ID:9ibQUVt5 [34/65]
「 ご心配なさらぬように
魔女を一撃で亡き者にする 剣魔法
時間はかかりましたが
次の満月の晩には会得しようと思っています」
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
賢く武芸にも秀でたあの娘は 今は護衛も兼ねる私の侍女頭
「満月?」
「 えぇ これを会得するのには
修行だけではダメなのです
私自身 魔女になり その一撃において
彼女を上回らなければなりません 」
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
.
104 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:26:12
148 名前:(34/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:07:13 ID:9ibQUVt5 [35/65]
「では 悪魔と契約を行い 本物の魔女になるつもりと ?
それを行う人間は 強大な力を得たとしても
ゆくゆく地獄の業火を 浴び続ける運命になると 」
「 わかっておりますよ
でも 私の命というのは
この為に使うべき物だと考えています 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀・)_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
「 私のために オマエがそんな
運命を辿ってはいけない 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀) (∀゚*,,)
( つ | U
) ) ) | )
(_)_) U U
「 王子のためだけでは ありませんよ 」
.
105 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:26:41
149 名前:(35/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:07:52 ID:9ibQUVt5 [36/65]
「 あの優しかった兄が 強かった兄が
無残に殺され その死を辱めるように
吊るされていた姿 」
∧ ∧
(;;;∀;;;)
U;;;;;;つ=l二フ
|;;;;;;;;|
(/"ヽ)
「 私はあの時から 我が身もろとも あの魔女を
地獄に葬り去る覚悟です 」
.
106 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:27:19
150 名前:(36/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:08:26 ID:9ibQUVt5 [37/65]
「 王子 いえ 国王
あなたは 多くの人から愛され慕われ
ご自分の感情を殺してでも
そこに存在せねばならぬ身
私は身よりもなく 代わりはいくらでも入る ただの侍女
自分の感情通りに単身復讐をしようが
何も失うものなどない身 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;・Д) (゚∀゚*)
( つ と つ=l二フ
) ) ) | )
(_)_) U U
「 昔も申したでしょう 私ならアナタの負の心も背負えます 」
彼女の魔女退治は 私の念願でもあった
だが次の満月には この娘は魔女になる…?
∧_∧ ∧ ∧
( ;-Д-) (*゚∀゚)
( ) と つ=l二フ
) ) ) ( |
(_)_) U U
.
107 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:27:44
151 名前:(37/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:09:18 ID:9ibQUVt5 [38/65]
そんな中 大きな噂が持ち上がった
海の向こうの大陸を 物凄い勢いで統一している
某国の若く美しい王子が いばらの城の姫に
恋焦がれていると
∧ ∧
(,,゚Д゚)
U |
( |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
/
…ふざけた国も あったもんだ
一国の王子に そんな賭けじみた冒険をさせるだなんて
.
108 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:28:14
152 名前:(38/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:09:49 ID:9ibQUVt5 [39/65]
その王子の別の噂も聞く 非常に感情的で一本気
己の怒りに触れる者は 正義の名の下に容赦なく切ると
「 …私にもそんな強さがあれば
姫を救えたのかもしれなかったな 」
「 蛮勇と国を治める強さは違います
今この国がこうして平和なのは
国王の つらくも強いご英断の積み重ねです 」
∧_∧ ∧ ∧
(-∀- )_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
「 …彼なら姫を救えるかもしれない… 」
「 その前に私が行きます
私が魔女を倒し 姫を王の元へ 」
∧_∧ ∧ ∧
(-∀- )_ (∀゚*,,)
U U ヽ || | U
(⌒(⌒ノ=rf. | )
し'し'__i__| U"U
.
109 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:28:43
153 名前:(39/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:10:23 ID:9ibQUVt5 [40/65]
「 …今の私はね…
姫のことよりも
オマエが魔女になってしまうことの方が
つらくてたまらないんだよ 」
∧_∧ ∧ ∧
( ;=∀=)(∀゚;,,)
U つと |
(⌒(⌒ノ=rf| )
し'し'__i__|U"U
決して表では表せぬ感情を共有してきた彼女
私の悲しい恩人の残した たった一つの形見
このままたった一人で
悪魔に魂を引き渡した
漆黒の世界に放り込めるワケがない
∧_∧ ∧ ∧
( T∀)∀゚;,,)
( つ U
) ) ) | )
(_)_) U U
.
110 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:29:15
154 名前:(40/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:11:00 ID:9ibQUVt5 [41/65]
長年愛した姫への 裏切りとわかってる
それでも止められない
この娘に 感じる愛おしさ
∧_∧∧ ∧
( T)゙;,,)
( つ U
) ) ) )
(_(_)UU
自分のそば以外の 他のどんな世界にもやりたくない
もう戦いも復讐も忘れさせて ただ幸せにしてやりたい
∧_∧ ∧ ∧
( -∀-) (;゙∀゙)
( ) | つO
) ) ) ( |
(_)_) U U
魔女になる決心をするほど 心の凍てついていた娘は
そんなこと考えたことなどなかったのだろう
しばらく迷っている様子だった
.
111 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:29:44
155 名前:(41/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:11:26 ID:9ibQUVt5 [42/65]
娘の出した答えは
「 魔女にはならない これからもそばで仕える
だが私が姫を想う気持ちは 持っていて欲しい 」 と
∧_∧
( ・∀・)
( ) ∧ ∧
) ) ) (∀゙; ⌒)
(_)_) U( つつ
彼女に言わせれば 姫を一途に想う私の姿が
自分を強くする支えでもあったと
∧_∧
( =∀=)
( ) ∧ ∧
) ) ) (∀゙; ⌒)
(_)_) U( つつ
強くなることしか 考えてなかった彼女に
急に自分に向けられ 求められた愛は
人生をも脅かす とまどいになってしまっているのだろう
.
112 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:30:19
156 名前:(42/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:12:00 ID:9ibQUVt5 [43/65]
彼女は今更 私の権力の前で 服従しているのではない
人生の一番の目的 復讐を諦めてくれたのは
私をつらい目に合わせたくないという心配りだろう?
∧_∧ ∧ ∧
( -∀-) (,,;゙∀)
( ) | U |
) ) ) ( |
(_)_) U U
いつかその好意が 私を頼る気持ちになってくれたらと願い
私は待つことにした
…もう届かない遠くの石になった姫を諦め
近場の石の心を持った娘に
乗り換える…か
情けない卑怯者
.
113 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:30:52
157 名前:(43/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:12:43 ID:9ibQUVt5 [44/65]
海を渡ってきた王子の強さは
この近辺を脅かし続けた魔女の比ではなかった
しかも悪魔との契約などではない
先天的に備わっていた力が
修行や怒りで 人智を超える勢いで強化していくというから凄い
∧ ∧ .,, ;; ''::;;,, .
(#゚Д゚);::'" "'::;;;; ;;.;,;.;,,;.;,,;.;,;.:.::,:,:,::,::::::.:
| つ;::::::::
( |"。'::;;,,:::::: .,,, ;; ;;.;,;.;,,;::;.;;,;;,;;.;,,;.:,:,:,::,:.::,
(/"U "; ;; '"
いわゆる 少年誌的伝説の勇者
実はこの物語の主人公
.
114 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:31:37
158 名前:(44/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:13:16 ID:9ibQUVt5 [45/65]
既にその強さと奔放さで
彼は単身その怒りに任せて 悪政をする国に乗り込んでは
その国の「許しがたい魔王」を討伐していた
∧ ∧
(,, ゚Д)
| つ┼── ○
( | 大
(/"ヽ)
┌───────────────――──────────┐
| ギコ王子の会心の一撃!! チビ魔王に135のダメージ! .|
| チビ魔王は倒れた!!ギコ王子に67の経験値! |
| ギコ王子はラギを覚えた! |
└──────────────────────――───┘
そんな彼がある日 呪われた城の噂を耳にする
世にも美しい姫が 悪い魔女に魔法をかけられて
石にされてしまってる
∧ ∧
( ゚Д゚)
| つ/⌒/
ヽ ⌒)^)
| ̄し'U
地元付近には元婚約者もいたそうだが
魔女を恐れ 戦おうともせず放置
ならば この気の毒な姫を魔の手から救うのは
自分だろう
.
115 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:32:05
159 名前:(45/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:13:54 ID:9ibQUVt5 [46/65]
北の祠の巫女より 神の導きの言葉を貰い
愉快な商人の手伝いをして船を手に入れ
途中 竜宮を苦しめる魔物も退治して
伝説の剣も手に入れて
王子はいばらの城へ突き進む
∧ ∧
(,,゚Д゚)
U |
( |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
城の全ての魔物を殺し
∧ ∧ .,, ;; ''::;;,, .
(#゚Д゚);::'" "'::;;;; ;;.;,;.;,,;.;,,;.;,;.:.::,:,:,::,::::::.:
| つ;::::::::
( |"。'::;;,,:::::: .,,, ;; ;;.;,;.;,,;::;.;;,;;,;;.;,,;.:,:,:,::,:.::,
(/"U "; ;; '"
魔女も吹き飛ばした王子が 奥の間で出会ったモノ
.
116 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:32:33
160 名前:(46/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:14:19 ID:9ibQUVt5 [47/65]
それが彼女
∧ ∧
("-"*)
⊂ ::::⊃
ノ ::::::ヽ
` ~~^
私が愛した姫の時を止めた姿
彼女の美しさなら 私が一番良く知っている
彼は姫に本当に一目惚れして
彼女にかかった呪いを解いたんだろう
*
∧ ∧ ∧ ∧ *
(,,*゚Д)(o ゚*,,)
| つOと | *
( | / ヽ
UU <___>
.
117 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:33:00
161 名前:(47/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:14:42 ID:9ibQUVt5 [48/65]
「 ここは…? 」
「 魔女の城です アナタを石に変えた
悪しき魔女は この私が成敗いたしました」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (,,*゚ o゚)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
「 あなたは…? 」
「 囚われになったアナタの噂を聞き
海を越えてやってきたギコ王国の王子です
この呪いは心からアナタを愛する者にしか解けないと聞き
こうして馳せ参じました 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (o ゚*,,)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
.
118 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:33:30
162 名前:(48/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:15:13 ID:9ibQUVt5 [49/65]
「 そうだったのですか ありがとうございます
でも私には 定められた婚約者がいるのですよ 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,,゚Д゚) (-゙;,,)
と つ Oと |
( | / ヽ
UU <___>
「 知っています アナタのご親族が亡き者にされ
アナタが眠りについて十余年
一度だって魔女討伐をすることもなく
魔女が治めていたアナタの国と
友好不可侵の同盟まで結んだ臆病者のことですね 」
「 十余年? 私はそんなに眠っていたの?
彼は本当に私を助けてくれなかったの? 」
∧ ∧ ∧ ∧
(,;-Д)(o ゚;,,)
| つ と |
( | / ヽ
UU <___>
「 申し訳ありません 私の言葉も迂闊でした
何か事情があったのかもしれません
現在では国王になっている アナタの婚約者の元に参りましょう 」
.
119 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:34:09
163 名前:(49/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:15:45 ID:9ibQUVt5 [50/65]
「 人々は呪いを解かれた我が身を祝福してくれます
ですが父も母も知った家来もいなくなったこの国では
身の置き場がありません 」
∧ /∧ ∧ ∧∧
(゚Д゚(゚- T*)ミ ヽ
| つ∩ |ミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 …モララー王国がアナタを受け入れて下されば
よいのですが。 」
「 …アナタの言ってたことは 真実です
誰に聞いても 彼は私を一度も 助けに来なかったと
私のことなど 魔女の手に落ちた時点で
その心から 切り捨てられたのかもしれません 」
∧ ∧∧ ∧ ∧∧
(,, -Д)*Tっ)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 姫はそれほどまでにモララー国王をお慕いしていたのですか? 」
.
120 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:34:28
164 名前:(50/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:16:22 ID:9ibQUVt5 [51/65]
「 遠く離れた私の国でよろしければ
私の妻となって来てくれませんか? 」
∧ ∧ ∧ ∧ ∧∧
(,,゚Д゚)(゚- ゚*)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
「 …もちろんそれはモララー国王に逢ってからお考え下さい 」
∧ ∧ ∧ ∧ ∧∧
(,, ゚Д)( *゙ -)ミ ヽ
| つ/ つミ /ヽ_)
/ ̄( ⌒)´)´ ) /
| し' し'し' i
121 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:35:08
165 名前:(51/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:17:30 ID:9ibQUVt5 [52/65]
私に出来ることといえば 勇者と姫君を盛大に迎えること
十余年 思い焦がれてた君を
あの当時の美しい姿のまま 見ることができて
私は心の底から 嬉しかったよ
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,,*゚ -) (∀; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
だけど君は その分年をとった私に
驚いたようだったね
そして私に尋ねた
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,*Tっ) (∀・; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
「どうして アナタが助けに
来て下さらなかったのですか?
私の父母の仇をとってはくれなかったのですか? 」
.
122 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:35:39
166 名前:(52/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:18:00 ID:9ibQUVt5 [53/65]
…言い訳はできなかった
王位継承者である責任の重さのせいにはできない
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧
(,, ゚Д) (,*Tっ) (∀-; )
| U| | U|っと )
( | / ヽ ( ( (
U U <____> (_(__)
なぜなら彼女の背後には それを持ったまま
彼女を救い出せた 天才的な強さの勇者がいるから
∧ ∧ ∧ ∧ ∧VVVl
(,,゚Д゚) (*゚ -゚) ( ・∀・)
|U | |U )っと )
( | / ヽ ( ( ( ∧ ∧
U U <____> (_(__) (∀゙; ⌒)
U ( つつ
私の想いを 全て知ってる侍女が
私の為に いろいろと語ってくれた
親友や自分の兄が身を呈して私を止めたことも
国民を思うため身動きできなかった私のことも
.
123 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:36:41
167 名前:(53/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:18:40 ID:9ibQUVt5 [54/65]
しかし私のことで 震えながら必死に訴える侍女の姿を見て
土下座して畏まる侍女を 思わず助け起こす私の姿を見て
彼女は女として悟ることが あったのだろう
∧ ∧ ∧ ∧ ∧VVVl
(,,゚Д゚) ( * - ) ( -∀-)
|U | |U ) ( つつ
( | / ヽ ) ) ) ∧ ∧
U U <____> (__)_) (∀T; ⌒)
U ( つつ
私は 彼女が呪いにかかっている間に
助けにもいかずに 愛人を作っていた 不誠実な人間
「 彼女は 私が国に連れて帰って
一生幸せにします 」
∧ ∧ ∧ ∧ lVVV∧ ∧ ∧
(#゚Д゚)(-T*,,) (∀- ) ∩∀T*)
| つ ∩ | ( ) ヽ U
( | / ヽ ( ( ( | )
U U/___> (_(__) U U
若く強く美しいこの王子の 屈託のない誓いの言葉が眩しい
私より君の方が この世にも美しい姫を
手に入れる価値のある人間なんだろうね
.
124 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:37:10
168 名前:(54/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:20:26 ID:9ibQUVt5 [55/65]
その晩 私の城の泉のほとりで
口づけを交わす 若き二人をみる
∧_∧ ハハハハ
( =∀) (,, ) ,,)
( ) ( ) >
(⌒(⌒ ノ\
し' し' \
伝説の勇者の 一世一代の恋
傷つく姫を 労わり癒す
物語の中のラブロマンスで一番の盛り上がりどころ
脇役の私は 彼女を連れ旅立つ勇者の王子に
彼女を救ってくれた礼として 城に眠っていた宝『 魔法の鍵 』 を渡す
∧VVVl ∧ ∧
( -∀) (Д゚*,,)
( つ ♀と |
) ) ) | )
(_)__) U U
「とうぞくのカギ」では開けられなかった扉も
開けることが可能な 冒険者には役立つアイテムだ
もちろん国の財産をきちんと管理し
他人様の部屋や宝箱を開く用事のない私には
もともと不必要なモノだ
.
125 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:37:40
169 名前:(55/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:21:22 ID:9ibQUVt5 [56/65]
さて 旅立つ王子と姫は 知っているのか知らないのか
魔女が倒され 主無き彼女の国を襲う混沌
P
||
|::|
∧ △|::::|
△田.lΠl l.△
. |゚゚゚|二||O||二|゚゚゚|
__〔ニニ〕 ||⌒|| 〔ニニ〕______
__| | || 丗 || | |_____
他国からの侵略か 内部からのクーデターか
元友好国の主としてこの行く末を見守る義務がある
「 はやくも 野心家のクックル皇帝が
領土拡大にこの地の侵略を始めたな… 」
「 魔族の生き残りも 魔女の抑えの効かなくなった今
各地を混乱させています…」
lVVV∧ ∧ ∧
(・∀・ ) (゚∀゚;)
( ) U U |
| | | | )
(_(_) U U
126 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:38:35
170 名前:(56/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:22:13 ID:9ibQUVt5 [57/65]
「 現地の情勢を探れ 」
「 他の近隣国と和平条約を結べ 」
「 難民の受け入れの準備をしろ 」
lVVV∧ ∧ ∧
(-∀- ) (゚∀゚;)
と つ U U |
| | | | )
(_(_) U U
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ) ( )( )
魔女の独裁時代よりも 恐ろしく予想のつかない乱世
このように 軟弱な私が 乗り切れるモノだろうか?
.
127 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:39:03
171 名前:(57/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:22:44 ID:9ibQUVt5 [58/65]
「 …私のそばで これからもずっと
助け支えになってくれるか? 」
∧VVVl ∧ ∧
( ・∀・) (゚∀゚;)
( ) U U |
| | | | )
(_)_) U U
「 …はい… 」
∧VVVl ∧ ∧
( -∀) (∀゙* )
( ) U |
| | | | )
(_)_) U U
君の私に向ける真心は知った
振られた私への同情もあるかもしれないが
それでもいい 今の私には君しかいない
これからも 君を愛させてくれ
.
128 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:39:30
172 名前:(58/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:23:23 ID:9ibQUVt5 [59/65]
馬鹿な国王が身分の低い侍女を寵愛することなどは
特にめずらしいことでもない
∧VVVl ∧ ∧
( -∀)(∀゙* )
( つと |
| | | | )
(_)_) U U
私達は特に誰からも祝福を受けることなく
ただ二人 つらい時ほどなお一層寄り添った
.
129 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:40:11
173 名前:(59/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:24:19 ID:9ibQUVt5 [60/65]
乱世は飛び火し 更なる巨悪がこの世を襲う
あの魔女とは比べ物にならないほど
強い魔族に 我が国も脅かされる
∧_∧ ∧ ∧
( ;・∀・) (*゚∀゚)
( つ つ と つ==l二フ
私の愛しい人は 城で国を守らねばならぬ
私の代わりに 何度も戦場に赴いた
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・) (゚∀゚*)
( つ つ と つ==l二フ
私を守ること それが 彼女の愛の証だと 今の生きる歓びだと
.
130 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:40:46
174 名前:(60/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:24:43 ID:9ibQUVt5 [61/65]
ある日 彼女は 魔族の呪いを
一身に帯びて帰ってきた
∧ ∧ ∧_∧
(iii゙∀゙) (・Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
ヽ
体中に出来た腫れ物には 焼けるように熱が篭もる
「 熱いかい 何か欲しいものはあるかい 」
∧ ∧ ∧_∧
(iii゚∀゚) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
ヽ
「 魔女になってたら 地獄の業火を浴び続けなければいけなかった
でも この焼ける痛みは 私が死すれば消え去ります 」
.
131 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:41:12
175 名前:(61/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:25:16 ID:9ibQUVt5 [62/65]
「 死など 不吉なことを 」
「 私 魔女にならなくてよかった 」
∧ ∧ ∧_∧
( iii゙∀) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
「 アナタに幸せを教えてもらいました 」
∧ ∧ ∧_∧
( iii゙∀) (Д・; )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ )
.
132 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:41:56
176 名前:(62/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:25:42 ID:9ibQUVt5 [63/65]
∧ ∧ ∧_∧
(;;;;;∀;) (ロT )
⌒⌒⌒⌒⌒ヽと ヽ
ヽ ) ,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.......,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
そして この数十分後 私も
侵略してきた 魔物に命を奪われる
あの勇者の王子と 身も心も強くなったかつての姫が
この地を訪れる時 全てが破壊され 人の住めなくなった
この一帯の惨事の跡に 心痛めるであろう
∧ ∧ ∧ ∧
(;゚Д゚) (iii゚っ゚)
|U | |U )
( | <___>
U U (/ U ,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
........,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
.......,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
そして王子は最後の旅を決意し
漆黒の大魔王に打ち勝ち この世の伝説になる
.
133 名前:
呪われた姫君を救え!! [sage] 投稿日:2021/12/29(水) 01:42:46
177 名前:(63/63)[sage] 投稿日:04/11/23(火) 20:26:23 ID:9ibQUVt5 [64/65]
私のことは 物語の中には
ほとんど綴られていないだろうね
/ ̄ ̄\
:::::::/ ̄ ̄ヽ \
:::::::\ \ \
:::::::\ \ / ̄
:::::::\/ ̄ ̄ヽf
あ…残っていたよ
『 ヒロインを救おうともせず 手近な下賤の女にうつつを抜かし
乱世に真っ先に 魔族に滅ぼされた臆病者 ヒロインの元婚約者 』
だそうな。
何一つ成し遂げたモノの残らない 脇役などそんなモノであろうな。
~ 糸冬 ~
※引用元:AA(アスキーアート)板(◆/D8/honey管理) http://jbbs.shitaraba.net/computer/43066/
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