短編まとめ
18禁短編まとめ
やる夫&モナギコショートストーリーセレクション
298 名前:
◆qrSUVPbtek [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:54:45
ID:fwUugW4+0 (PC)
1/14
B氏はいまテーブルの自分の席にすわってデイリー・メイル紙を読んでいた
小柄で丸々としたB夫人は鳩そっくりで、やはりまだ若い
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しかし、小さなBは、太った幼児でも丸々としてもなかった
よく弾むプディングのようでもなかったBはその年齢にしては小さく
いつも大きく目を見開いていた
何かしら奇妙な理由のために、人生におけるすべてのものが小さなBにとってサイズが間違っているような気がした
299 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:55:48
ID:fwUugW4+0 (PC)
2/14
「どうして、二種類の卵がないの?」
小さなBはそう言った
「どうして子供のためのちっちゃい卵と、この卵みたいな、大人のための大きな卵の2つに分かれてないの?」
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300 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:56:32
ID:fwUugW4+0 (PC)
3/14
「スコットランドの野兎だ」
B氏は言った
「5シリング3ペンスの上等の野兎。どうだい1羽手に入れるってのは、お前?」
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「目先が変わっていいでしょうね」
B夫人は言った
「土鍋で煮ればいいわ」
301 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:57:12
ID:fwUugW4+0 (PC)
4/14
2人は顔を見合わせた
2人のあいだの宙空には、コトコトと肉汁のなかで煮えるスコットランドの野兎の肉団子と、
それに添えた酸塊のゼリーの白い壺が浮かんでいた
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302 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:57:50
ID:fwUugW4+0 (PC)
5/14
「うわあ」
小さいBが突然叫んだので2人はとても驚いた
「見て、雀がものすごくたくさん芝生に降りてきたよ」
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ミ_ノ ミ_ノ ミ_ノ
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「いい子だから、ちゃんと自分の分を食べちゃいなさい」と母親が言い
父親も口を挟んだ「食べることに集中しなきゃな、ぼうず、しっかり食べるんだ」
「でも、見てよ みんな跳ねてるよ」小さなBは叫んだ
「チーチーチーチー」雀たちは甲高く叫んだ
303 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:58:23
ID:fwUugW4+0 (PC)
6/14
「窓を開けてよ、父さん、何か投げてやろうよ、ねえ父さん、お願いだよ」
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「まあ、うるさく言わないのよ、おちびさん」B夫人が言った
父親も言った「窓を開けろって言うのかい、ぼうず、頭をつつかれちまうぞ」
「でも、みんなきっとお腹を空かせているんだ」小さなBは叫んだ
304 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:59:01
ID:fwUugW4+0 (PC)
7/14
雀たちの鳴き声は小さなナイフを何本も何本も一斉に研いでいるように聞こえた
ヾヽヽ ヾヽヽ ヾヽヽ
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ミ_ノ ミ_ノ ミ_ノ
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「チーチーチーチー」雀たちは叫んだ
305 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 04:59:35
ID:fwUugW4+0 (PC)
8/14
小さなBが見ていると、凍った灰色の芝の上の雀たちが突然むくむくと大きくなった
彼らはみな茶色の上着を着た小さな子供になり、芝の上で、踊り、走り回り、
囀りながら窓の向こうを飛んだり跳ねたりした
人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_
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>何か食べるものが欲しい─何か食べるものが欲しい
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306 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:00:12
ID:fwUugW4+0 (PC)
9/14
「父さん、あれは雀じゃないよ、あれはちっちゃい男の子だよ、ねえ、父さんったら」
しかしB氏もB夫人もその声に耳を傾けなかった
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「この飢餓の話は」B氏は声高に言った
「みんな嘘っぱちだな、みんなでまかせだ」
307 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:00:47
ID:fwUugW4+0 (PC)
10/14
白く輝く顔をして、大きな上着の下で手を羽ばたかせて、子供たちは踊った
人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_
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>何か食べるものが欲しい─何か食べるものが欲しい
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308 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:01:21
ID:fwUugW4+0 (PC)
11/14
「父さん」小さなBは呟いた
「聞いてよ、父さん、母さん、聞いてよ、お願いだから」
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B夫人は言った「あの雀たちのうるさいことといったら。こんなうるさい鳴き声は聞いたことないわ」
「ぼうず、靴を持ってきてくれよ」とB氏が言った
「チーチーチーチー」と雀たち
309 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:02:03
ID:fwUugW4+0 (PC)
12/14
子供は何処へ行ったのだろうか?
「部屋から出たはずはないな」とB氏
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し `J し`J
B夫人は窓を見に行った
B氏もつづく
310 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:02:42
ID:fwUugW4+0 (PC)
13/14
2人は外を見た
凍った灰色の芝が見えた
大勢の子供たちの前で、白い、それは白い顔をした子供が、
細い腕をまるで羽か何かのように羽ばたかせていた
1番小さく1番頼りないその子供が、小さなBだった
B夫人は一斉に喚きたてる声のなかにはっきりと小さいBの声を聞いた
人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_
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>何か食べるものが欲しい─何か食べるものが欲しい
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311 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:03:17
ID:fwUugW4+0 (PC)
14/14
「こら、ぼうず、すぐに家に入るんだ、ぼうず、ちびすけ」
ヾヽヽ ヾヽヽ ヾヽヽ ヾヽヽ
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ミ_ノ ミ_ノ ミ_ノ ミ_ノ
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しかし、もう遅かった
小さな子供たちはにんな雀の姿に戻り、つぎつぎと空へ飛び立っていくところだった
遠い場所に向かって
声の届かない場所に向かって
312 名前:
◆qrSUVPbtek [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 05:04:00
ID:fwUugW4+0 (PC)
「淑やかな悪夢」
キャサリン・マンスフィールド作 「suburban fairy tale」
313 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 09:53:20 ID:SgEYUshZ0 (PC)
ひぃー
乙
314 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/03(日) 20:06:44 ID:dtIN5MLf0 (PC)
GJ なんかこわいような悲しい話だ。
315 名前:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:2008/08/04(月) 14:37:43 ID:x6omSMn30 (PC)
現実のほうがもっと怖くてもっと悲しいじゃないか。
総ての子供たちに羽があれば世界はもっと平和だよ。
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